私たちは子供の頃から「男性とはこうあるべき」「女性とはこうであるべき」という社会的な刷り込みが根付いてしまっていますよね。それによって、ジブンらしく生きられず、悩んだり苦しんでいる方も多いはず。
これからは「男らしさ」「女らしさ」という性別の呪縛から自由になって、その人らしい生き方ができるジェンダーフリーの時代へ!!
ジェンダーとは
ジェンダー(Gender)とは、社会的・文化的によって役割を作り上げられた「男性」「女性」のこと。
染色体、内性器、外性器、ホルモンなどの身体的な構造の違いで決められる性差(セックス)とは違い、私たちは子供の頃から「男の子なんだから泣かないの」とか「女の子なんだからお料理ぐらい出来るようにならないと」と言われ、知らず知らずのうちに”男性とはこうあるべき”、”女性とはこうであるべき”というような社会的な刷り込みが根付いてしまっています。
このような刷り込みによって作られた、いわば「男性像」「女性象」のようなものがジェンダー(Gender)の概念です。
性自認(Gender Identity)とは
性自認とは(Gender Identity:ジェンダー アイデンティティ)とは、別名「心の性」とも呼ばれ、自分自身の性をどのように認識しているかということです。
“生物学的な性”と“心の性”が一致している方もいれば、、違和感を感じてモヤモヤとしている方、一致していない方もいます。このような身体と心が一致していない方達は「性同一性障害(トランスジェンダー)」と呼ばれています。
身体と心の性を一致させる為に身体的な手術を受ける方もいますよね。
近年、世間では「性同一性障害(トランスジェンダー)」の理解が進んできているとはいえ、まだまだ偏見や差別的な言動を受けることもあります。
性的指向(Sexual Orientation)とは
性的指向とは(Sexual Orientation:セクシャルオリエンテーション)とは、恋愛感情や性的な対象がどの性別に向いているかを表すものです。
異性に対して恋愛感情や性的な関心がある人のことを「ヘテロセクシュアル」「ストレート」と呼び、世間一般ではまだまだこのストレートが「普通」とか「当たり前」と思っている傾向があります。
それに対し、同性愛や両性合の人達は、性的少数者(Sexual Minority:セクシュアルマイノリティ)という呼び方をされています。
性的少数者の方達は、恋愛感情や性的な対象が同性の場合は「レズビアン」「ゲイ」、、恋愛感情や性的な対象が男女両方にある人は「バイセクシュアル」、性的指向を決めていない又は悩んでいる人を「クエスチョニング」と呼びます。このような性的少数者の人達のことを総称で「LGBT」「LGBTQ」などと言います。
「LGBT」の方達も「性同一性障害(トランスジェンダー)」と同じように、性的少数者がゆえに偏見や差別的な言動を受けることもあります。
LGBTが抱える困難
LGBT当事者団体は、LGBTの人たちへの偏見や現状についてのレポートを発表しました。
この内容は衆議院の会議でも取り上げられ、LGBTの人たちが抱えている様々な困難をどう解消していくかが議論されました。
「LGBTの現状と課題 」
子供 教育 | ・学校で「男のくせに」「気持ち悪い」「ホモ」「おかま」「レズ」などと侮蔑的な言葉を投げかけられ、自尊感情が深く傷つけられた. ・性的指向について、教員や同級生がおかしいものと話したり、「うちの学校にはいない」と言われ、何も言い返すことができなかった。 |
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就職 | ・就職活動の際、結婚などの話題から性的指向や性自認をカミングアウトしたところ面接を打ち切られた ・職場での昇進・昇格に結婚要件があったため、同性パートナーがいたのにもかかわらず昇進・昇格できなかった |
医療 | ・認知症・意識不明状態のパートナーが入院したが、病院・医師から安否情報の提供や治療内容の説明を受けられず、面会もできなかった ・医療機関の受付では戸籍上の名前で呼ばれるため、受診しづらくなった |
公共サービス | ・高齢者向けの施設において、男女分けで施設が運営されているため、性別違和を抱える社会保障 当事者の意向を伝えても考慮されず、戸籍の性で分類され、精神的な負担が大きかった ・同性パートナーと公営住宅への入居を申し込もうとしたが、同居親族に当たらないこと |
性別表現(Gender Expression)とは
性別表現(Gender Expression:ジェンダー エクスプレッション)とは、服装やしぐさ、言葉づかいなどで表す性のことです。
例えば、自分のことを”僕”と呼べば「男性」、”私”と呼べば「女性」であるとか、ズボンを履いたら「男性」、スカートを履いたら「女性」であるというような、外見やしぐさなどで「男性」か「女性」を表現することです。
性自認(心の性)と一致することが多いですが、心は女性でも、自分の事を「私」と呼ぶかはその人次第です!
ジェンダーによって起こる不平等
世界ではジェンダーによってさまざな不平等が起きています。
例えば、妻が働くことを夫が合法的に禁止できる国は世界で18カ国もあり、相続権が娘と息子では平等ではない国が39カ国もあります。
このように「男だから」「女だから」という理由で、自分の生き方を決められてしまう国は少なくありません。
2030年までに目指す「ジェンダー平等」
2015年9月の国連サミット定められた「SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」。SDGsは2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す為の世界的な目標で、17のゴール・169のターゲットから構成されています。
その中にはジェンダー不平等をなくそうという目標もあり、今ジェンダー平等に向けて世界が動き始めています。
SDGs:目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
5.1 | すべての女性及び女児に対する差別をなくしていこう。 |
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5.2 | すべての女性及び女児に対する人身売買や性的暴力をなくしていこう。 |
5.3 | 未成年の結婚、早期結婚、強制結婚や女性器切除などをなくしていこう。 |
5.4 | 賃金が発生しない名もなき家事や育児・介護など大変な仕事であると理解し、評価すること。そうゆう方の為の公共のサービス、インフラ及び社会保障政策を充実させること。 |
5.5 | 政治、経済、公共など色々な所で女性が参加できたり、男女平等にリーダーシップを決めれるようにしよう。 |
5.6 | 女性の性と妊娠に関する健康や権利を守ろう。 |
5.a | 男性と同じように女性も土地や財産、金融サービス、相続財産、天然資源を手に入れる権利をつくろう。 |
5.b | 女性の活躍の場を広げる為に、もっとインターネットやインフラ技術を向上させよう。 |
5.c | ジェンダー平等の促進、またすべての女性のあらゆるレベルの能力を高められるような適正な政策や法律をつくろう。 |
日本はジェンダー平等には程遠い⁉
世界ではジェンダー平等を実現しようと動き始めていますが、日本でのジェンダー平等はどれくらい進んでいるのでしょうか。
世界経済フォーラムが、毎年発表している各国における男女格差を測る「ジェンダーギャップ指数 (2021)」では、「経済」「教育」「健康」「政治」の4つのカテゴリーの総合で男女格差が判断されていて、それぞれのカテゴリーで日本は経済が156か国中 117位、教育が92位、健康が165位、政治が147位とほとんどが下から数えた方が早い結果に。。
総合的な順位は156か国中 120位でスコアは0.656でした。
これは数値が0に近いほど不平等、1に近づくほど平等ということを意味しており、日本のジェンダー平等は世界から遅れを取っていることが分かります。
先進国にも関わらず、日本では性別だけで制限されてしまうことが、まだまだ多いということが分かりますね。
ジェンダー平等の為にできるSDGsなこと
ジェンダー平等の社会を目指す為に、私たちは何から始めたらいいのでしょうか。
国連から持続可能な社会のために 「ナマケモノにもできるアクション・ガイド」というものが発表されたので、その中からジェンダー平等に向けてできる行動をご紹介します!
女性は男性と同じ仕事をしても、賃金が10%から30%低く、賃金格差はあらゆる場所で残っている。同一労働同一賃金を支持する声を上げよう。
結婚・出産など、ライフステージが変わった時に、女性の方が勤務時間や雇用形態を変えなければならない割合って高いですよね。
それに対して疑問や違和感を抱く人たちは、もっともっと声を上げていきましょう。声をあげることで変えられることはあるはずです。
もちろん、会社側も現状の賃金・雇用管理の制度や運用を把握し、当たり前になっていることをもう一度見直すことが大事です!
職場で差別があったら、どんなものであれ声を上げよう。性別や人種、性的指向、社会的背景、身体的能力に関係なく、人はみんな平等だから。
「男性のくせに」「女性のくせに」など、ジェンダーによる差別だけでなく、人種やLGBT、その人の学歴や生い立ちなどの社会的背景、身体能力による悪口や嫌がらせ、差別は絶対にしてはいけません!
もしそのような行為をアナタが目にしたら、どんなものであれ声を上げよう!
いいね!するだけじゃなく、シェアしよう。女性の権利や気候変動についてソーシャルメディアでおもしろい投稿を見つけたら、ネットワークの友達にシェアしよう。
女性の権利や気候変動について学ぼう。
そしてネットワークでシェアすることで誰かの力になることもあるはず。
オンラインでのいじめを報告しよう。掲示板やチャットルームで嫌がらせを見つけたら、その人に警告しよう。
どんな人でもいじめは絶対にしてはダメ!
もしそのような行為を目にしたら、どんなものであれ声を上げよう。
ジェンダーフリーの時代へ
私たちは生まれたときから「男だから」「女だから」という社会的な刷り込みや、性自認、性的思考などで、悩んでいる方や生きずらい思いをされている方も多いはずです。
そうゆう方達が、自分に偽りなく堂々と生きることができる社会になれば、どんなに素晴らしいことでしょうか。
「男だから」「女だから」というカテゴライズされた性別ではなく、誰もが自分らしい生き方ができる「ニューノーマル」な社会を作らなくてはなりません。
ジェンダーレス(Genderless)とは
ジェンダーレス(Genderless)とは、ジェンダー(Gender)とレス(less)を組み合わせた言葉で、男女の性差がないこと。
例えば男の子だからランドセルは黒色、女の子だから赤色など、性別だけで決められてしまうものってありますよね。ジェンダーレスはそのように性別だけで判断するのをなくそうという考え方です。
ジェンダーフリー(Genderfree)とは
ジェンダーフリー(Genderfree)とは、男女の性差による固定概念や役割分担にとらわれず、平等に行動や生活できることです。
例えば男性は外で働いて、女性は料理や育児をするといった性別によって刷り込まれた「やらなければいけない」行動ってありますよね。
ジェンダーフリーは女性が外で働いても良いし、男性が料理や育児をしたって良いというような、性別ではなく個人の得意なものを生かしていこうということです。
性別だけで刷り込まれた役割にとらわれず、自分が得意なことや好きなことをしよう!
ジェンダーレスとはジェンダーフリーの違いとは
ジェンダーレスは「性別」の差をなくすこと。
ジェンダーフリーは「性別による行動」の差をなくすことです。
ジェンダーレスは「男性」「女性」という性別そのものの差をなくすという意味ですが、ジェンダーフリーは性別関係なく、その人の個性を生かした生き方をしようというような意味です。
まとめ
いかがでしたか。
「男性」「女性」という性の枠組みで、違和感を感じている方、悩んでいる方、様々だと思います。性別だけで判断されることのなく、誰もが偽りなく自分の人生を生きれること、能力を生かせられるような世の中になるように、私たち一人ひとり何ができるか考えて行動に移していくことが大事です。