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「もののけ姫」から考える持続可能な人と自然との関わり方

もののけ姫から考える環境問題 LIFE

もののけ姫から考える環境問題

1997年公開のスタジオジブリの長編アニメーション「もののけ姫」

当時の日本の歴代興行収入記録を塗り替えた大ヒットした「もののけ姫」には、持続可能な社会を目指すヒントがいくつも盛り込まれています。

その課題の一つ「人間と自然との関わり」
ついて考えてみましょう。

映画「もののけ姫」とは

もののけ姫 エシカル

1997年公開のスタジオジブリの長編アニメーション「もののけ姫」

宮崎駿監督が構想16年、制作に3年をかけたという懇親の映画は、興行収入193億円を記録し、当時の日本の歴代興行収入記録を塗り替えた大ヒット映画です。

原作・脚本・監督  宮崎 駿
プロデューサー 鈴木敏夫
音楽 久石 譲
主題歌 米良美一
声の出演 松田洋治 ⋅ 石田ゆり子 ⋅ 田中裕子 ⋅ 小林 薫 ⋅ 西村雅彦 ⋅ 上條恒彦 ⋅ 美輪明宏 ⋅ 森 光子 ⋅ 森繁久彌
上映時間 約133分
配給 東宝
公開日 1997.7.12(土)

「もののけ姫」のあらすじ

もののけ姫 エコロジ-

「もののけ姫」は、少年アシタカが住む村に突如、タタリ神と化したイノシシが襲ってくるところから物語が始まリます。アシタカは村を守るためにイノシシを退治しますが、その際、右腕に「死の呪い」を受けてしまいます。

「死の呪い」は決して治すことが出来ない“疫病”のようなものなので、アシタカが村にいると他の村人達にとっては危険です。その為、アシタカは村から出ていかなければなりませんでした。

旅の道中、負傷した男性を助けたアシタカは、彼の住む「タタラ場」と呼ばれる村へ送り届けました。タタラ場は女当主 ”エボシ”が仕切る村で、村人達が“石火矢”と呼ばれる火砲を作って生活していました。その作った火砲でエボシは、砂鉄が豊富なタタラ場を狙う他の村の侍や、砂鉄を取るために森を切り開かれ、住処を奪われた“もののけ達”から守っていました。

村を襲い、自分の右腕に呪いをかけたタタリ神も、実はこのタタラ場で作られた火砲を受け、人間への怒りと憎しみを増幅させたイノシシだった事を知ったアシタカ。

そこへ山犬に育てられた人間 “もののけ姫“のサンが、エボシの命を狙いに村を襲撃してきます。エボシ達の攻撃で劣勢となったサンは、アシタカに助けられ一命を取り止めますが、人間嫌いのサンはアシタカの事を殺そうとします。

アシタカとサン

しかしサンを守る時に重症を負ってしまったアシタカを、“生命の象徴”であるシシ神が傷を治し、生きる選択をアシタカに与えます。それを見たサンはアシタカを生かすと決め、彼を介抱していくうちにアシタカに心を開いていくようになります。

そしてアシタカもサンと接していくうちに「森と人が争わずに済む道は無いのか」と考えるようになっていきます。

森と人が争わずに生きる道はあるのか。
そしてアシタカの呪いはとけるのか。

アシタカとサンの運命はいかに!!

というような、自然と人の共存を壮大なテーマで描いた、とても考えさせられる内容です。

「もののけ姫」から考える環境問題

「もののけ姫」には現代の厳しい課題がいくつも盛り込まれています。

その中の一つ「人間と自然との関わり」

映画では生きる為には山を切り開かなければいけない人間達と、自分たちの住処を奪われ、人間を憎む”もののけ”達との戦いが一つの軸となっていますよね。

それぞれの目線に立って考えてみましょう。

森に住む”もののけ”たちの目線で考える

自分を捨て、仲間を殺める人間は嫌いだ!”もののけ姫” サン

もののけ姫サン

サンは赤子の時に生け贄として捧げられ、その後犬神のモロに育てられた人間です。

「人間なんか大嫌いだ!」
「黙れ!私は山犬だ!」

など、サンは自分を人間ではなく、山犬であるというセリフをたびたび発しています。そして、自分たちの住処を奪おうとするエボシ達人間を嫌い、エボシの首を狙いに襲撃を繰り返しています。

もののけ姫 環境

しかし、山に住む猩々達からは「山犬の姫(サン)もどうせ人間なんだろ」と、もののけとして認められてはいません。山犬として生きる道しかなかったサンにとっては、非常に酷なセリフでもありますよね。。

説明をする人
サス子

幼かった自分を捨て、住んでる森を壊し、仲間を殺す人間たちを嫌うのは当然ですよね。

絶対に許さない!人間への憎しみによってタタリ神になった 猪神

もののけ姫 SDGS

人間への怒りと憎しみでタタリ神に化けた「ナゴの守」。

「ナゴの守」とはシシ神の森に住む巨大な猪神のことで、エボシが治めるタタラ場で作られた火砲を受けたことで、タタリ神になってしまいました。我を忘れ、暴走の末にアシタカに左目を矢で射抜かれますが、倒れる寸前にアシタカの腕に巻き付き「死の呪い」を残しました。

説明をする人
サス子

ナゴの守からしたら、どんな状況でも自分を狙うものは全て敵ですよね。

やられたらやり返す!かかってこいや!人間ども! 乙事主

もののけ姫

ナゴの守とは同族であった、猪神の「乙事主」。

「例え我が一族が全て滅んだとしても、人間に思い知らせてやる」と、仲間を引き連れて人間達に反撃します。しかし仲間は殺され、乙事主も石火矢を受け瀕死の状態に。サンの説得にも耳を貸さず、人間への怒りと憎しみでタタリ神へと化してしまいます。

説明をする人
サス子

大切な仲間をタタリ神にされたり、殺されてしまった乙事主にとって人間を許せない気持ちは当然ですよね。。

オイッ人間ども!いい加減、人間ご都合主義はやめろ !! 犬神 モロの君

もののけ姫 モロ

300歳のメスの犬神「モロの君」

実子の2頭の山犬同様に、人間に捨てられたサンを娘として愛情をかけて育てています。

アシタカには「お前にサンは救えるのか」と厳しく接するが、サンには「彼と共に生きる道もある」と優しく話す場面もあります。

しかしエボシから石火矢による傷を負わされ、サンと同様人間を嫌っている。タタリ神になりかけた乙事主を止める為に力を使い果たすが、最後の力を振り絞って首だけを動かし、エボシの右腕を食いちぎった後に息絶えてしまいます。

説明をする人
サス子

山犬やサンからすれば、モロの君は愛情深く優しい母親ですが、エボシにとっては、しつこく自分を狙ってくるしつこく、疎ましい存在とも言えます。

タタラ場に住む人達の目線で考える

森は生計手段をもたらしてくれる場所

もののけ姫 森林伐採

アシタカが旅の途中、傷を負っていた男性を助け、その男性が住む村へと連れて帰った場所が「タタラ場」です。

タタラ場は砂鉄から鉄を取りだす作業を行う製鉄所のような場所で、村人たちはその砂鉄から石火矢と呼ばれる火砲を作っています。砂鉄を採る為に森林伐採を進め、火砲を売ることで生計を立てているのです。

またその火砲で、鉄資源を狙う他の村の者達や、住処を奪われ、人間に恨みを持っている”もののけ達”から村を守ったりもしています。

説明をする人
サス子

様々な事情を抱えたタタラ場の人達にとって、自分たちが生きていくためには、絶対に森を切り開かなければいけないんですよね。。

就労困難な社会的弱者たちを受け入れる場所

もののけ森林破壊

タタラ場で働く女性達は、戦で人身売買された女性達。

厳しい仕事にも関わらず、ここで働く女性達は「お腹いっぱいにご飯が食べれるし、男はいばらないし、外界に比べればずっといい」と答えています。

また一場面に包帯にグルグルに巻かれた、ハンセン患者とみられる病人が登場します。ハンセン病に罹患した人達は隔離されたり、差別を受けたりして社会から疎外されてしまいます。

タタラ場ではそのような人達にも火砲を作らせたり、暖かい寝床を提供するなど、生きる希望や居場所を与えているのです。

説明をする人
サス子

様々な事情を抱えたタタラ場の人達にとって、自分を救ってくれたエボシの首を狙う者は、全て敵と思うのも無理はありません。

もののけ姫に出てくる登場人物たちは正義なのか悪なのか

女性のエンパワーメントとリーダーシップ!タタラ場を仕切る エボシ

もののけエボシ

「タタラ場」を統一している当主「エボシ」。
もののけ達や砂鉄を狙う他の侍達から命を狙われています。

タタラ場では戦で怪我や病にかかった者、人身売買された女性などの社会的弱者を全て受け入れ、再び働く場所を生きる希望を与えてくれる唯一無二の存在です。

「行くあてのない私たちをエボシ様だけが受け入れてくれた。」
「その人はわしらを人として扱ってくださった、たった一人の人だ。わしらの病を恐れず、わしの腐った肉を洗い、布を巻いてくれた。」

など、エボシのことを尊敬して慕う人は沢山います。しかし、もののけ達にとっては、森を破壊し自分たちの住処や命を奪うエボシは憎い存在。

エボシには自分を慕ってくれる、守らなければいけない者たちを大勢抱えているので、自分が恨まれていることも理解していますが、自分たちの暮らしをより豊かにするためには、山を切り開き、神殺しだってします。

説明をする人
サス子

エボシの行動は時に非情ではありますが、守ならければいけない者を大勢抱えていることを考えてると、一概に悪者だとは言い切れません。

人情はあるが、策略的な現代風ビジネスマン! シシ神の首を狙うジコ坊

もののけジコ坊

謎の組織「師匠連」の一員で、不老不死の力があるとされるシシ神の首を狙っている「ジコ坊」。

アシタカが旅の途中で、お米を大粒の砂金で支払おうとした際「こんなのじゃダメだ」と押し返されそうになった時に、アシタカを助けてくれたり、気に掛けてくれる面倒見の良い一面もあります。

ジコ坊は砂金の価値をいち早く知っていたり、シシ神退治を条件に、エボシにタタラ場に石火矢衆を40名貸す契約をするなど、したたかな策略家ですが、現代で言えばやり手のビジネスマン的な所があります。

しかし自分の利益を優先させる為、生命の象徴であるシシ神様の首を狙ったり、猪神の乙事主をタタリ神にさせるなど、もののけ達にとっては森を脅かす悪のような存在でもあります。

説明をする人
サス子

ジコ坊は、知識、コミュニケーション能力、行動力、適応能力などあらゆるスキルを持っていますよね!

互いの個性を尊重し、多様な価値観を受け入れる【Z世代】アシタカ

もののけ姫 公平性

人間への憎しみや死への恐怖をまとったタタリ神の「死の呪い」を右腕に受けてしまったアシタカ。

「死の呪い」を受けた者は、いずれ死に至る恐ろしい病のようなものなので、村にアシタカがいると他の者にとって危険な存在になりかねません。その為、村から出ていかなければなりませんでした。

村を出て行かなければならなかったアシタカですが、村人からすれば自分たちの村を守る為にタタリ神を殺してくれた英雄でもあります。しかし、もののけ達からすれば、いくらタタリ神になったとはいえ、神の森に住む猪神を殺したアシタカは悪の存在になります。

もののけ姫 環境問題

その後アシタカは、エボシに撃ち取られた生命の象徴であるシシ神の首を、サンと一緒にシシ神に返すことで、呪いの死を解くことが出来ました。しかし”人間が自然界に犯した罪を忘れるな”と過去の戒めとして、手のアザは薄く残ったままに。

それでもアシタカは「死の呪い」にも真っすぐに向き合い、最後は「死の呪い」を全て受け入れて、生きていくという選択をしました。

自分の生き方を貫きながらも、他人の価値観や生き方を尊重するという姿勢は、現代の「Z世代」の生き方に似ているかなと思いました。

■Z世代の特徴

・多様性や個性に寛容
・仕事に対して堅実

・自分らしさを重視

・社会問題に関心

説明をする人
サス子

これから持続可能な社会を築くためには、アシタカのようなZ世代の若者とどのように向き合い、関わっていくかも重要です。

まとめ

もののけ姫 自然

持続可能な社会とは、「持続可能な開発が行われ持続可能性を持った社会」及び「地球環境や自然環境が適切に保全され、将来の世代が必要とするものを損なうことなく、現在の世代の要求を満たすような開発が行われている社会」を指すこと
出典: フリー百科事典Wikipedia「持続可能な社会」とは

タタラ場で暮らす人達は、さまざまな事情を抱えながら、それでも自分たちは生きていかなければなりません。

しかし、エボシのやり方をこのまま続けていけば、自然がどんどん失われるだけでなく、資源の奪い合いなど、人間同士の争いにも繋がっていきます。

「もののけ姫」のラストシーンは、アシタカはタタラ場で、サンは森で暮らし「共に生きよう、そして時々会いに行くよ」と言ってお別れしています。

アシタカとサンのように、お互いの生き方や暮らす領域を尊重しながら、共存していくという姿勢は、持続可能な社会を目指していく上で、お手本にしたいものです。

説明をする人
サス子

これはまさに、今現実の世界で起こっていることですよね!

オフィシャルサイト

スタジオジブリ
H P : https://www.ghibli.jp/
Twitter : https://twitter.com/JP_GHIBLI

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