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秋の夜長にぜひ見て欲しい『心に染みるLGBT映画10選』

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秋といえば「スポーツの秋」「読書の秋」「食欲の秋」など、様々な言葉がありますが、ぜひ今年の秋は「芸術の秋」を味わってみてはいかがですか。

秋の夜長にぜひ観て欲しいLGBTの映画を紹介します。

君の名前で僕を呼んで

原作 Call Me by Your Name
監督 ルカ・グァダニーノ
出演者 アーミー・ハマー
ティモシー・シャラメ
公開日 米 2017年11月24日
日 2018年4月27日
上映時間 130分
あらすじ
1983年、17歳のエリオ・パールマン(ティモシー・シャラメ)は家族と一緒に北イタリアの別荘で夏を過ごしていた。そこにギリシャ・ローマ考古学の教授である父の助手として、24歳のオリヴァー(アーミー・ハマー)が一家の家で一緒に暮らすことになった。最初はお互いぎこちない関係だったが、エリオは徐々にオリヴァーに惹かれ、彼に想い告げる。そして2人は激しく恋に落ちるが、夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいていく、、、

 

北イタリアを舞台に、青年のひと夏の淡い恋を描いた映画「君の名前で僕を呼んで」

今をときめく俳優ティモシー・シャラメが、大人になる前に繊細な過渡期を見事に演じ、脚光を浴びた作品でもあります。

同性愛がテーマになっている映画では、親が出てきても同性愛ということを隠していたり、反対するといった描写が多いのですが、この映画では、息子が男性を好きになっているということに気が付いていても、反対するわけでもなく、普通に接する両親の姿が印象的でした。

美しい北イタリアの風景と、美しい俳優を見ているだけでも十分満足できる映画ですが、もし自分が親の立場だったら。もし自分自身が同性愛者の立場だったら周りの人にどう接して欲しいのか、どう接するべきなのかを、考えさせられる映画でもあります。

ムーンライト

原作 In Moonlight Black Boys Look Blue
監督 バリー・ジェンキンス
出演者 トレヴァンテ・ローズ
アンドレ・ホランド
ジャネール・モネイ
アシュトン・サンダース
公開日 米 2016年10月21日
日 2017年3月31日
上映時間 111分

あらすじ
舞台はマイアミの貧困地域。ジャンキーの母親ポーラ(ナオミ・ハリス)と暮らすシャロン(アレックス・R・ヒバート)は、背が小さいことから学校では「リトル」と呼ばれ、イジメにあっていた。

シャロンのことを唯一気にかけてくれているのは、近所の麻薬ディーラーの夫婦と友人のケビンだけ。シャロンはケヴィンに対して友情以上の気持ちが芽生え始め、一度は心を通わせるが、次第に別々の道を歩み始める2人。しかしシャロンの心にはずっとケヴィンがいた、、

少年時代、青年時代、そして成人までのシャロンを、3人の俳優が演じ分けたこの映画は、第74回ゴールデングローブ賞では作品賞を受賞。また、同年の第89回アカデミー賞では8部門でノミネートを受け、作品賞、脚色賞、麻薬ディーラー約のマハーシャラ・アリが助演男優賞に輝きました。

この映画はLGBTの問題だけでなく、貧困や育児放棄、イジメなど様々な社会問題に切り込んでいますが、どのシーンも決定的なシーンはありません。ラストも「ハッピーエンド、、だよね!?」というような終わり方なので、モヤモヤする方も多いと思います。

ですが、あえて曖昧に描くことで、映画を観終わった後に「あの人はどうなったのだろう」「あれはどうゆう意味だったのだろう」と考えることが、もしかしたらLGBTや社会問題を考えたり、理解しようとすることに繋がっているのかなと思います。

ブロークバック・マウンテン

監督 アン・リー
出演者 ヒース・レジャー
ジェイク・ジレンホール
アン・ハサウェイ
ミシェル・ウィリアムズ
公開日 米 2005年12月9日
日 2006年3月4日
上映時間 134分

あらすじ

舞台は1960年代、アメリカワイオミング州。ブロークバック・マウンテンの農場に羊放牧の季節労働者として雇われた20歳のイニス(ヒース・レジャー)とジャック(ジェイク・ギレンホール)は過酷な労働の中、いつしかお互いに惹かれあっていく。

その後、仕事の任期を終えた2人は何の約束もしないまま別々の道へ進んでいく。そしてお互い家庭を築くが、2人は再開を果たし密かに愛を育んでいく。しかし、同性愛が受け入れられない厳しい社会の中で、2人の関係も次第にすれ違っていく、、

映画「ダークナイト」でアカデミー賞 助演男優賞に輝いた故ヒース・レジャーと、「ナイトクローラー」での迫真の演技が光るジェイク・ギレンホールが主演の「ブロークバック・マウンテン」

アメリカでのLGBTの解放運動が活発になり始めた1960年代は、まだまだ同性愛者にとっては厳しい社会でした。

映画ではジャックの死の原因は「タイヤの修理中に事故に巻き込まれた」と描かれていましたが、ジャックの死は本当に事故だったのか、反同性愛者に殺されたのか、観客が考察を深めるような曖昧さがありました。

この映画は、LGBTの人達の厳しい歴史や社会を知ると同時に、自分自身を偽りながら、自分の気持ちにフタをして生きているという人たちにも、深く滲みる映画ではないでしょうか。

リリーのすべて

原作 The Danish Girl
監督 トム・フーパー
出演者 エディ・レッドメイン
アリシア・ヴィキャンデル
マティアス・スーナールツ
ベン・ウィショー
公開日 米 2016年1月1日
日 2016年3月18日
上映時間 119分

あらすじ

舞台は1926年のデンマーク コペンハーゲン。画家のゲルダ(アリシア・ヴィキャンデル)と、同じく画家の夫アイナー(エディ・レッドメイン)と慎ましく暮らしていた。
ある日、ゲルダの描く女性モデルが来られなくなったと連絡が入り、ゲルダは急きょ夫に脚のモデルを頼む。

最初は戸惑っていたアイナーだったが、女性用のストッキングを履いたことで、自分の中にある女性性を自覚していく。アイナーは自分のことを「リリー・エルベ」と名乗るようになり、リリーとして過ごす時間が増えていく。

ゲルダはリリーを医者に診せるが、どこに行っても精神疾患という診断をされてしまう。しかし、アイナーの性を理解してくれた医者と出会ったことで、リリーは世界初の性別適合手術を受けることを決断する、、、

この映画は1920年代 世界で初めて性転換手術を受けたデンマーク人の男性と、男性を支えたその妻の実話に基づく物語で、非常に繊細で難しい役どころを主演のエディ・レッドメインが見事に演じています。

日に日に女性に変わっていく夫に、戸惑い、傷つきながらも支えていくと決心した妻。

その決心にいきつくまでのゲルダの心情を考えると、自分に正直に生きようと我が道を進んでいくリリーが自分勝手にも感じてしまう人もいるでしょうが、実際はゲルダも同性愛者だったという噂なんかもあったりして。。そう考えると夫の気持ちも、受け入れられやすかったのかもしれません。。

しかし、お互い愛し合っていたことは変わりないので、大切に思うからこそ、お互い自分の中にある本当の声に気が付けたのかもしれません。

アデルブルーは熱い色

原作 ブルーは熱い色
監督 アブデラティフ・ケシシュ
出演者 アデル・エグザルホプロス
レア・セドゥ
公開日 仏 2013年5月23日
日 2013年10月25
上映時間 179分

あらすじ
道ですれ違ったブルーの髪の美大生 エマ(レア・セドゥ)に、一目ぼれをした高校生のアデル(アデル・エグザルホプロス)。

知人と一緒に足を運んだレズビアンバーで、再会を果たした人は急接近していく。

そして高校を卒業し、夢だった教師として働き出したアデルは、画家になったエマと同棲を始め、幸せな日々を送っていた。しかし、エマの友人達を招いたホームパーティーで、どこか疎外感を感じてしまったアデルは、エマとの距離を少しずつ感じ始めるように。

そして画家としても忙しい日々を送るエマとのすれ違いもあり、淋しさを感じたアデルは、エマを裏切る行動に出てしまう。。

第66回パルムドールを受賞した映画「アデルブルーは熱い色」

アデルは最初男の子と付き合っているのですが、どこか心が満たされません。

しかしエマに出会い、エマにどうしようもなく惹かれる一方、同級生たちに女性が好きだとバレたくはありません。また、エマに出会うまではLGBTのデモでも積極的に大声を出して行進していたのに、いざ自分がLGBTの立場になりデモに参加すると大声を出せないというシーンも非常に考えさせられるシーンでした。

この映画を見て、アデルは女性が好きというよりも、エマという人間に惹かれ、たまたまエマが女性だったという風に解釈しました。

そう考えると私達も、今まで好きになった相手がたまたま”男性だった”、”女性だった”というだけで、アデルのように同性を好きになる可能性もあるかもしれませんよね。

この映画は3時間という長い映画ですが、俳優たちは1度しか台本を読む機会を与えられなかった上に、同じシーンを何十回も撮影し、フラフラになるまで極限まで追い込まれたという、過酷な撮影から引き出された演技は、3時間があっという間に感じるほど圧巻です。

キャロル

原作 The Price of Salt
監督 トッド・ヘインズ
出演者 ケイト・ブランシェット
ルーニー・マーラ
公開日 米 2015年11月20日
日 2016年2月11日
上映時間 118分

あらすじ
舞台は1950年代のニューヨーク。将来は写真家になることを夢見ながらデパートで働くテレーズ(ルーニー・マーラ)は、お客としてデパートにやってきた人妻キャロル(ケイト・ブランシェット)に出会う。
キャロルの美しさに心を奪われたテレーズは、キャロルが買い物中に置き忘れた手袋を届けたのをきっかけに、昼食に誘われる。

恋人リチャードと会っていても心が満たされないテレーズと、娘の養育権問題で夫と争っているキャロルは、昼食会を機に急接近していく。

ある日、テレーズはクリスマス休暇にキャロルから車での旅行に誘われる。しかしテレーズとの関係を怪しむキャロルの夫。この旅行で2人に待ち受けている運命はいかに。。

ベテラン俳優ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラのダブル主演映画「キャロル」

劇中でキャロルがテレーズに「正しいと思う事を大切にやり続けるだけ。あとは切り捨てるのよ」という言葉を投げかけるのが印象的でした。

お互いに異性のパートナーがいるのにも関わらず、どこか心が満たされない気持ちでいる。

それは自分の心の声をごまかして生きているから。この映画では、自分の心に正直に生きていくことの大切さを教えてくれる映画ではないでしょうか。

ダラス・バイヤーズクラブ

監督 ジャン=マルク・ヴァレ
出演者 マシュー・マコノヒー
ジェニファー・ガーナー
ジャレッド・レト
公開日 米 2013年11月1日
日 2014年2月22日
上映時間 117分

あらすじ
舞台は1985年テキサス州ダラス。電気技師兼カウボーイのロン(マシュー・マコノヒー)は、医師から「エイズで余命30日」と伝えられる。

当時、エイズは「ゲイの病気」だと思われていたため、女好きのロンは信じようとしなかった。しかし、病気のことを調べていくうちに、異性との性交渉でも感染するということを知り、主治医に薬を処方してくれと迫るが「認知されていない薬は出せない」と断られてしまう。

彼は代替薬を探すためメキシコへ行き、薬を密輸することを試みる。そしてトランスジェンダーのレイヨン(ジャレッド・レト)と出会い、レイヨンと共に国内未承認の薬を販売組織「ダラス・バイヤーズクラブ」を設立するが、、、

実話を基にしたこの映画で、主人公のロンを演じたマシュー・マコノヒーは、この役の為に20キロ以上の減量し、アカデミー賞主演男優賞を受賞。またトランスジェンダーという非常に難しい役どころを見事に演じたジャレッド・レトもアカデミー賞助演男優賞に輝きました。

1980年代、世間ではエイズは「ゲイだけがかかる病気」という偏った認識をされていた時代。

ロンも最初は大のゲイ嫌いでエイズは「ゲイだけがかかる病気」だと思い込んでいましたが、自身がエイズのことを勉強し、ゲイだけがかかる病気ではないと理解していきます。

そして、トランスジェンダーであるレイヨンとの出会ったことで、いつしかLGBTへの差別や偏見をなくし、レイヨンという一人の人間として接していくようになっていきます。

自分で学び、正しい知識を得ることがどれほど重要なのか。
そして、「LGBTだから」「男だから」「女だから」ではなく、一人の人間として相手と向き合うことの大切を教えてくれる映画ではないでしょうか。

チョコレートドーナッツ

監督 トラヴィス・ファイン
出演者 アラン・カミング
ギャレット・ディラハント
アイザック・レイヴァ
公開日 米 2012年12月14日
日 2014年4月19日
上映時間 97分

あらすじ
舞台は1979年のアメリカ カリフォルニア。ショーパブで働くルディ( アラン・カミング)は、客として訪れた弁護士のポール(ギャレット・ディラハント)と出会い、交際を始める。

ある日、ルディはアパートの隣に住むダウン症の少年マルコの、母親が薬物所持で逮捕された母親のために、独りぼっちになってしまった。その姿に心を痛めたルディは、ポールを説得しマルコを引き取ることにする。ルディとポールは自分たちの子供のようにマルコに愛情を注ぎ、幸せな日々を送るが、3人を取り囲む周囲の目は厳しいものであった、、

映画「チョコレートドーナツ」は、実話を基に脚色されて描かれた作品です。

1970年代は同性愛に対しての理解は、今よりももっと差別や偏見があった時代。

社会から厳しい目を向けられた中で、3人が一つの家族になろうと必死になる姿をみて、この世の中がもっと多様性を認められる世の中になればい良いのになと心から願いました。

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ

監督 ジョン・キャメロン・ミッチェル
出演者 ジョン・キャメロン・ミッチェル
スティーヴン・トラスク
ミリアム・ショア
マイケル・ピット
公開日 米 2001年7月20日
日 2002年2月23日
上映時間 95分

あらすじ
歌手を夢見るヘドウィグ(ジョン・キャメロン・ミッチェル)は、共産主義体制下の東ドイツで生まれ、そこで米兵のルーサーと出会い恋に落ちる。

ルーサーと結婚する為に、性転換の手術を受けるが失敗。股間に”アングリー・インチ(怒りの1インチ)”が残ってしまう。

2人は渡米するが、ルーサーとは破局。そこで昔の夢だった歌手になろうと、バンドを結成。そこで歌手を夢みる年下のトミーと出会い、付き合うようになるが、”アングリー・インチ(怒りの1インチ)”を知られてしまい破局してしまう。

ヘドウィグ作った曲を盗み、人気のロックスターになったトミーを追いかけながら、ヘドウィグはライブを続け、本当の愛を捜し求めていく、、

強烈な映像とロックミュージックが織りなす「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」

原作は主役を演じていたジョン・キャメロン・ミッチェルが作曲家と共に作り上げた作品で、ブロードウェイではロングランを達成し、日本版では三上博史、山本耕史、森山未來が主演を務めました。

ヘドウィグは幼少期より母親から「愛の起源」を聞かされて育ったというシーンがありましたが、愛の起源とは、古代ギリシャの哲学者が説いたもので「昔は人間は1つの球体だったが、神様はその球体を男性と女性に分けてしてしまった。だからこそは元の半分を追い求め、球体に戻りたいと思っているのだ」というもの。

ヘドウィグは残った”アングリー・インチ(怒りの1インチ)”のせいで、恋人トミーにフラれ、彼のことを追いかけ回すようになりますが、実は追いかけていたのはトミーではなく、性転換の手術の時に切捨てたもの、つまりもう一人の自分だったのではないでしょうか。

この映画は、LGBTの人だけではなく、どんな人でも自分を受け入れ、愛することの意味や大切さを教えてくれる映画ではないかと思います。

モンスター

監督 パティ・ジェンキンス
出演者 シャーリーズ・セロン
クリスティーナ・リッチ
公開日 米 2003年12月17日
日 2004年9月25日
上映時間 109分

あらすじ
舞台は1986年のフロリダ。同性愛者のセルビー(クリスティーナ・リッチ)は、バーで娼婦のアイリーン(シャーリーズ・セロン)と出会い恋に落ちる。
2人で過ごす為に娼婦のアイリーンは客をとるが、客から暴行を受けたことで、客を銃で殺してしまう。
その後、2人で生活していくためにアイリーンは娼婦を辞め、昼間の職に就こうとするが、ことごとく断られてしまう。再び娼婦として働き始めたアイリーンは、そこでまた殺人を犯してしまったのだった。
警察からも行方を追われ、2人の関係も暗黙が立ち込めていく、、、

この映画は、元娼婦の連続殺人犯の実話を基に製作された映画で、役作りのために10kg以上体重を増やし、本作に挑んだ主役のシャーリーズ・セロンはアカデミー賞主演女優賞に輝きました。

幼いころから、育児放棄や性的虐待を受けて育ったアイリーンの背景を知っても、7人を殺めた連続殺人というのは許されるべきではありませんが、、、結局、モンスターとは誰のことだろうか。

7人を殺めたアイリーンなのか。
娼婦を買う男たちなのか。

それともセルビーなのか。。
非常に考えさせられる内容です。

この映画は人間社会の暗闇に焦点を当てている為、気分が晴れ渡るような内容ではありませんが、シャーリーズ・セロンの怪演は見ものです。

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